猫ぐらし2 ねこったけ家族

愛猫3匹との日々を紹介します

NO.60    半角は『ハンカクサイ』?         2024年4月18日

 

「ハンカクサイ」とは北海道弁で「ばからしい」「バカ」という意味で使われます。

 事の始まりは、夫の「弘前に行きたい」という切ないつぶやき。4月から新しい職場に通い、未知な仕事に右往左往する日々に「なんかさ、モチベ上げないとやってられないよ」とへこむ中、「春休み長居したからGWは帰省しないね」の娘の一言が追い打ちをかけました。「行きたい」が「行くぞ」に変わり、5月連休を避けて弘前一泊旅行することにしました。折しもJRが5月9日~23日までの期間、新幹線乗車券を50%値下げしている。JRが必死でPRする(駅中ポスターだらけ)「えきねっと」を通じて割引チケットを手に入れようと、夫婦2人一念発起しました。

 「えきねっと」は昨年娘の大学受験期に登録済でしたが、いざ切符の支払い段階になると、クレジットカード決済の3Dセキュア認証ではじかれ(何度挑戦してもダメでした)、結局はJRみどりの窓口へ出向いて切符を購入していました。さらに早割の新幹線はやぶさ新函館北斗駅新青森駅間)は交通系IC カードがないと割引になりません。最寄りの駅でカードは取り扱っておらず、対応する改札機もありません。2市先の駅で取り扱っていると知り、購入しに行こうかと思案していました。この問題を解消するため最寄りのみどりの窓口へ2人で行きました。

 偶然にも「えきねっと登録無料相談」をしていて、窓口にはご夫婦連れやスマホを手にした70~80代高齢者の列ができていました。応対する若い女性が2人、説明を聞く男性の横にはびっしりと細かな字が書きこまれたメモがあり、おそらく様々なアプリやカード登録に必要なIDやパスワード、暗唱番号、操作方法等が記入されているのだろうと想像されます。隣の高齢者は担当者の説明を一つ一つ確認しながらペンを走らせています。これは相当時間がかかるなと覚悟していました。順番待ちの女性が話しかけてきて、「あなたみたいな若い人でも相談にくるのなら、83歳の年寄りにわかるわけないのよ」とこぼします。固定電話を耳に当てながらスマホを操作し「えきねっと」に登録しようとしたらしく、4時間かけてもできなかったそう。「ネットで買うと安くなるっていうけど、電話代の方が高くついたわよ。あのね半角って何なの?はんかくさいならわかるけど」というから胸の内で爆笑しました。

 あらゆるサービスのIT化、スマホ頼りの社会に我々60代でさえまごつくのに、80を過ぎてスマホを駆使してチケット購入を試みること自体あっぱれです。でもPCやスマホを持っていない人や高齢者の皆がみな、IT社会に対応していけるのでしょうか。近所の80歳になる男性はマイナンバーカードさえ持っておらず、今年12月に紙の健康保険証が発行されなくなることも知りませんでした。1人暮らしで手助けしてくれる子や親族がいない高齢者はたくさんいます。世の中便利で簡素化されるのはいいけど、いつか我々も置いてけぼりをくらうのでしょう。

 待っている人が増え途中から別のJR職員が駆け付け、私たちに対応してくれました。夫が事前にメモ書きした質問事項を話し、スムーズに問題(疑問)が解決しました。交通系ICカードは買わずともモバイルSuica を利用するのがいいと言われ、早速2人スマホを手に同時進行で挑戦しました。多少もたつきましたが、なんとか登録完了。えきねっとの3Dセキュアはクレカ会社によって制限をかけている場合があり、会社に問い合わせして解除してもらいました。ほぼ1日がかりで2人分の往復チケットを予約できました。最大の難関は駅券売機でQRコードによる紙チケットの発券(在来線)、当日、新幹線はスマホをかざして改札を通過できるかです。できなかったら「ハンカクサイ」では済まされません。不安で眠れないのも「あ~ハンカクサイ」。ナンボ(いくら)便利でもユルクナイ(楽でない)ね、あ~コワイ(疲れた)!

 猫たちは義理の妹にキャットシッターをお願いしました。いい子にしていてね。お土産はないけど。

         

      人生なんとかにゃるさー。その寝相、悩みも不安もなさそう

 

NO.59    濃密かつ怒涛の3月           2024年4月11日

 

 「あ~楽しかった」。長い春休みを終え、弘前へ戻るために駅へと送る車中で、娘が言いました。「そりゃそうでしょう!めいっぱい遊んで3食昼寝付きだもん」と、バックミラー越しの笑顔に返しました。振袖の前撮りをするため、まだ雪のある2月中旬に帰省し、つい先日大学へと戻っていきました。同じく帰省した同級生たちや晴れて志望大学合格を手にした後輩に会い、ゴロゴロと猫たちと戯れ、好きなTVドラマを観て春休みを満喫していました。こちらは食事の支度や量が増え、献立に悩み、娘と過ごす日々に喜々としている夫をよそに「そろそろ帰ってほしいわ」とぼやいていました。

 そんな中、初のバイトも経験しました。塾嫌いの娘ですが、公文は約9年間通いました。その教室が今も続いていて、御年80歳に手が届く先生から臨休した講師のピンチヒッターを頼まれました。幼児から小中学生が通う教室で国語、数学(算数)、英語の宿題の丸つけをし、わからないときは教えてあげます。英語、国語はともかく数学(算数)できたのって聞くと、「久々の分数計算だったけど、なんとかできた」そう。自身が通っていた当時と比べ、「集中してやっている子もいるけど、友達とおしゃべりしている子が多いの。先生にもタメ口なんだよ」と驚いた様子で、さらに「小学生女子でコスメの話題がすごいの!〇〇のリップいいよねとか、〇〇の新色かわいいとか私よりブランド知ってるの」と衝撃だったようです。一方で「あとから考えると、教えるときにああ言えば、こうすれば良かったかなとか思うよ」と反省もしていました。将来、教職を目指すかは別として数日のバイトで貴重な経験をしてきたようです。夕食時に、初バイト武勇伝を夫と一緒に頼もしく聞きました。

 一方、夫が5年間勤務した自治体の広報編集室長を退職しました。職場の良き相棒をはじめ、同業者でもある若い地方紙記者たちに送別会を開いていただき、気の合う仲間たちに恵まれました。毎月の紙面構成や原稿締切日、片道50分の通勤苦からも解放され、ほっと一息つきましたが、それもつかの間。4月からはこれまで経験したことのない、教育関係の“〇〇相談員”として勤務しています。まだ本人も仕事の全容がつかめないようで、「俺のスキル超えてるわ」と試行錯誤しているよう。通勤は楽になりましたが、老体に鞭打って働いています。3月は前職の有給消化期間と娘の春休みが重なり、家族で過ごす時間が濃密かつ、あれやこれや振り回され怒涛の日々でした。

 娘を見送ったその日、しんとした部屋に切なくなり、体を酷使して気を紛らわそうと、娘の部屋を掃除し、寝具類を洗い、さらにリビングの衣替えをしようとソファやクッションカバー、キッチンマット、トイレカバー等々を取り替え、洗濯機をがんがん回しました。気持ちもスッキリしてソファに横になろうとしたら、先に猫たちが占拠していました。君たちもおもてなし疲れ?2人生活で家事は多少楽になりましたが3月が濃密だった分、気が抜けてしまい、夫婦そろって“空の巣症候群”の日々です。

        

        

       春の日差しを浴びて、あちこちで猫が丸まっています

 

NO.58      振り袖前撮り             2024年3月28日

 来年成人の娘が振袖の前撮りをしました。家からすぐのブライダル会場です。レンタルした着物の他に、私の振袖も着て撮り、これを機に家族写真もカメラマンさんにお願いしました。ゆえに私の留袖、帯、草履に2人分の和装小物一式、着付けの際に身体の補正をする綿100グラム、ガーゼ5メートル、古いフェイスタオル3、5本なども用意すると大荷物で、風呂敷包み3つを持ち込みました。まるで「夜逃げみたい」と、娘と大笑いしました。

 娘の着付けとヘア&メイクに待つこと1時間、隣のスタジオに移って、正面・後ろの立ち姿や和傘を手にポーズをつくってみたり、座って紙風船を手に乗せて微笑んでみたり。アイドルの写真集のように色々なカットを撮ってくれるのだなと感心しました。ジャニオタ(旧)の娘は推しの顔写真入り特大うちわを持参し、胸に抱えて“これがやりたかったの~”とご満悦。カメラマンさんによると、最近はウエディングドレスの新婦さんの中にも結構いるそうです。思えば自分の頃はただ正面を向いて緊張したままの不自然な笑顔で、見合い写真には絶対使いたくない1枚でした(使うこともなかったけど)。

 10ポーズ撮って、うち3枚を台紙付きの写真にしてくれますが、1枚は家族写真にしました。娘が1歳になる頃にも写真館で撮影したので、約20年ぶりです。スーツ姿の夫、着物の娘と私が1枚に収まりました。「表情硬いね」「体曲がっている」「パパ、目つぶっているよ~」など、撮った写真の中から“ベストショット”を3人で選びました。2、3週間後に写真とデータを送っていただけるそうです。会場内で自由に撮影できたので、たくさんスマホにも収めました。すべて終わったのが、午後6時。たっぷり4時間かかりました。さすがに3人ともヘトヘトで、荷物を家に置き、留守番していた猫たちのご飯と水を与えてから、近くのラーメン店で夕食にしました。

 七五三の時、娘に初めて着物を着せました。3歳の時は赤い着物を着て、初めての草履に足が痛いと会場で大泣きしたのを思い出します。7歳の時は着物の他にドレスも着たいというので、水色のふわふわドレスを選び、ヘアメイクもしっかりしてお姫様気分にはしゃいでいました。振袖は成人式当日、その2年後の大学卒業式でも着て、その際は袴姿が見られることでしょう。“ママの振袖を着たい”と言ってくれたことは素直にうれしく、娘の成長を実感すると共に、必然親元から離れる日が近づいていると感じますした。凛とした振袖姿を頼もしく、愛おしく思う一方、一抹の寂しさを隠せません。にこやかに写真に収まった夫も、娘の晴れ姿に心中複雑だったのではないしょうか。春休みももうすぐ終わり、弘前に戻っていきます。今年のGWは弘前で過ごすそうで、次に帰省するのは夏休み。ここ数日間は親子でプチ旅行したり、美味しいものを食べに出かけたり、一緒にDVDを観たり(「すずめの戸締まり」観ました!面白いです)して、家族で過ごす時間を大事にしたいと思います。

 しばしのお別れを惜しんで、娘は隙あらばチャコ、りん、モモの体に顔を埋めて猫吸いしています。黒のパーカーを毛だらけにして春休みを満喫、猫化しています。

    

    私の振袖を着てくれたのは嬉しかったなぁ(写真左) 樹担!  

 

 

NO.57      恋猫の季節                2024年3月20日

 

 “暑さ寒さも彼岸まで”と言いますが、彼岸の中日に朝から雪。駐車場の車に2センチほど積もっていました。早咲き桜の開花や海開きの話題がニュースになる中、北海道の春はまだ遠し。春は「猫の恋」の季節ですが、最近、「わお~ん、わ~おん」と狂おしいほどに鳴く恋煩いの猫たちを見かけません。さすがの寒さで野良さんたちも出歩くのが億劫なのでしょうか。我が家のデッキにはしょっちゅう野良さんたちがやってきて、大音量の鳴き声を響かせていたのですが、ここ数年聞かなくなりました。昨年は街中に熊や鹿の出没が相次ぎ、近くの閉校した小学校の跡地では住宅建築が盛んになって、野良さんたちには住みにくい環境になったのでしょうか。なんだか寂しいです。

 ブログを始める前、地方紙に「猫ぐらし」を掲載していた際、「猫の恋」をうたった俳句を紹介しました。冬から春にかけて繁殖期を迎え、恋の相手を求めて切なく鳴き叫ぶ猫の様子が俳句の春の季語になっています。松尾芭蕉が「猫の恋 やむとき閨(ねや=寝室)のおぼろ月」「またうどな 犬ふみつけて猫の恋」「麦飯にやつるる恋か猫の妻」(猫の妻も俳句の季語)と詠み、小林一茶は「鼻先に飯粒つけて猫の恋」「振袖を着せてやりたや猫の妻」など、生涯にたくさんの猫の句を残したそう。正岡子規も「夜もすがら すのこの下の猫の恋」「恐ろしや石垣崩す 猫の恋」とうたっています。真面目な犬を踏みつけても好いた猫を無我夢中に追いかける情愛に感嘆し、石垣を崩すほどの激しい鳴き声におののいても、振り袖を着せて猫の恋を成就させてあげたいと願ったのでしょうか。猫の行動や姿をよく観察し、ユーモアたっぷりで思わず笑ってしまいます。百人一首を編集した藤原定家の歌にも「うらやまし声もをしまず野良ねこの心のままに妻こふるかな」とあり、古来より猫は身近な存在であり、様々な俳人歌人たちに愛されたのですね。

 我が家の3姫たちは年をとり恋に関心がないのか、すっかり家猫になじんで野性味が薄れたのか、激しい夜鳴きは減りました。ただ時々夫の足もとに代わる代わる3匹すり寄ってくるのは、恋のさや当てなのかも。

「恋せずは 猫のこころのおそろしや」

江戸時代の女流俳人・秋色(しゅうしき)が詠んだ句で、恋をしたことのない身には鳴き騒ぐ恋猫を恐ろしいと思うでしょう。でも恋を知った後では、猫の切ない恋心もわかるというものです。

  「猫の足 洗うてやらん春の雨」

同じく江戸時代の俳人・翠羽(すいう)は、春の雨でぬかるんだ泥に足を汚して帰ってきた猫の足を洗ってあげましょうね。猫の恋は実ったのかしら、それとも失恋したのかしら。どんな顔して帰ってきたのだろうと想像してしまいます。俳句を嗜むセンスはないけれど、猫に向ける温かなまなざしが好きです。

 娘は一応年頃ではありますが、恋愛ドラマや小説にさほど関心がないようで、加えてジャニオタ(旧)なので目前の男子より遠くのアイドルしか見えていないよう。「彼氏の第一条件は猫好き」といい、今のところ推し活に全身全霊でカレシのカの字も聞かないが、将来、彼氏ができたら夫は「どこの馬の骨だ!」と憤怒の形相で絶叫しそう。

    「男親 嫁にやらぬと仁王立ち」 「切なきは 猫の恋より男親」

        

             恋より寝るのが一番 寝ぼけ眼のモモ

          

         椎茸買ったらハート型! しかも2つでラッキー?

https://streamable.com/kx2rlj   猫じゃらしに夢中なチャコ

 

 

NO.56 はかったな、おぬし! ひな人形は早く片付けるべし 2024年3月8日

 ひな人形を片付けました。飾る日は「雨水」の日がいいと言われ、良縁に恵まれるそう。今年は2月19日でしたが、仏滅だったのでわが家は翌日の大安に飾りました。一方、「ひな人形は早く片付けないと、婚期が遅れる」っていいます。誰が言い出したのか知りませんが、単なる迷信です。迷信でも何らかの根拠があって、3月3日を過ぎても片付けないでいると、だらしないとか、決まり事を守らない、ルーズな家と世間から見られ、そうした家庭環境で育つ娘さんはダメよねっていう風潮から、嫁に行き遅れるとか縁が遠くなると、広まったそう。いわゆる躾の意味をこめた言い伝えのようです。結婚することを、「片付く」という言い方をすることもあり、ひな人形を片付けない=嫁に行けない、なんて失礼な話ですよね。とはいえ何気に催促すると、「明日、明日する」と片付けを引き伸ばしていた夫。帰省中の娘に「いつまでも家にいていいよ」って破顔、溺愛する夫。もしや、はかったな、おぬし!

 我が家のひな人形はガラスケース入りです。お内裏様、三人官女、かごや牛車のお道具が並んだ3段飾りです。娘が生まれた時に母に買ってもらいました。当時から猫2匹を飼っていたので、人形をそのまま飾るタイプだと、夜中や留守中にどんな惨事が起こるか計り知れず(顔をかじられたり、首や人形の小物類が持ち去られたり、想像すると怖い)、ケース入りにしました。

 ひな人形をはじめ、七夕の笹竹やクリスマスツリー、お正月の鏡餅などイベント飾りをリビングに置くには、それなりの覚悟が必要です。猫たちがカジカジ、ガシガシして破壊するからです。被害覚悟で毎年出窓に飾るクリスマスツリーのオーナメントは歯形だらけです(笑)。何かのお祝いでいただいた花束は、花は引っこ抜かれ、噛まれた花びらや葉っぱはすぐに枯れてしまいます。最悪、花瓶ごと倒されます。ゆえに玄関でしか楽しめません。

 ガラスケースで守られたひな人形にはさらなる試練が待っています。帰宅して部屋に入るとギョッとします。留守中、こともあろうにケースの上で猫が寝そべっているのです。高さがあるから眺めがいいのか、平然と毛づくろいし、憩いの場になっています。ジャンプしてケースに乗っかることもあり、そのつど追い払うのですが、割れやしないかとヒヤヒヤです。人形にしたって「何よ、この獣、無礼者!」と怒っていたでしょうよ。ゆえにひな人形は早々に片付けるのが我が家の鉄則です。来年も娘の帰省中に飾って、一緒に桜餅を食べられるかな。それとも来春はバイトでもしているかもね~と巡らしつつ、ガラスケースについた肉球跡や抜け毛をふき取り、防虫剤を入れて片付けました。ちなみに老舗人形店によると、人形は湿気に弱いので、晴れた天気の日にしまうのが良いとのことです。

 先日、仕事で特別養護老人ホームを訪問しました。玄関ロビーには豪華な8段のひな人形が飾られていました。地域に住む方からの寄贈だそうです。その昔は母子で箱から人形を出し、おしゃべりしながら飾られていたことでしょう。娘たちが家を離れ、高齢となった母親では飾るのが億劫になったようで、施設ではこうした理由でひな人形がよく寄贈されると聞きました。入居者さんがロビーを訪れ、「きれいね」「かわいいね」と自然と笑みがこぼれます。いくつになっても女性は煌びやかな衣装をまとうおひな様に魅了されるのですね。「うちは息子ばかりだから、ひな祭りを家でやったことがないの」という女性もいて、華やかなひな人形を憧憬の思いで見つめていました。実家に眠る60年前の私のひな人形は着物がほころび、大垂髪(おすべらかし)もだいぶほつれています。いつか処分することになりますが、その際にはきちんと人形供養してあげたいと思います。

    

 「無礼者!」と叫んでるかもね。でもわが家の猫はみんな女子だから皆でお祝い❤

 

 

 

NO.55   ねこの日♥ 我が家のにゃんこ        2024年2月22日

 

 2月22日は「猫の日」。あらためて我が家の3匹を紹介します。今年5月に11歳になる黒猫りん、キジトラのモモ(2匹は姉妹)、3月に8歳になる三毛猫チャコで、みんな女の子。保健所からの保護猫です。2020年9月から2023年2月まで「猫暮らし」のタイトルで地元紙室蘭民報に掲載していたコラムを、昨年4月から「猫暮らし2」のタイトルで引き継いで書いています。飼い主同様にシニア世代となり、最近は“ひねもすのたりのたりかな”と、寝っぱなしです(よく寝る子からネコと呼ばれる所以ですね)。だから仕事から帰宅しても誰一人出迎えてはくれません。安否確認のため、人間があちこち寝床を探して回って「ただいま」と声かけています。

 3匹の性格を言い表すと、多少の物音や物事(人間や猫同士の喧嘩など)に動じず、一匹高い場所から人間界を見下ろすような「孤高のりん」、膝のり猫で3匹中最もかわいい鳴き声(人を誘惑する)で、物音に敏感なのに鈍くさいくて逃げ遅れる「ビビり&甘え上手なモモ」、活発で運動量が多いわりには太猫で、先輩猫のりん、モモに遠慮せず猫パンチし、何食わぬ顔で暖房機前の特等席を奪う「ちゃっかりチャコ」です。3匹3様の特徴で、多頭飼いの醍醐味があります。

 猫の毛柄で性格がわかるというネット記事を見つけました。調査をしたのは東京農業大学で、首都圏の飼い猫244匹を対象に「おとなしい」「甘えん坊」「賢い」「気が強い」「神経質」「食いしん坊」など17項目について飼い主にアンケートし、猫の毛柄と比較したそうです(2010年)。調査を指導したのが、『トラねこのトリセツ』(東京書籍)などを監修し、元東京農業大学教授で動物学者の大石孝雄氏。調査結果をかいつまんで読むと、トラ柄に共通するのは「甘えん坊」で、中でも茶トラは他の柄の猫より「おとなしい」「おっとりしている」「温厚」と評価する飼い主が多く、「攻撃的」な面が少ないそう。「キジトラ」は原種の「リビアヤマネコ」に似ていて、野性本能が最も残っているといわれ、「人懐っこい」「賢い」「好奇心旺盛」とあります。三毛は「人の好き嫌いがはっきりしていてマイペース、気が強い」。黒は「甘えん坊」「好奇心旺盛」で、「のんびりでおおらか」とも書かれていました。当てはまるような、そうでもないような。“うちの子はこんな性格“と飼い主に思わせて、かわいがられるよう猫かぶりしているのかも。

 家にこもっていると、猫たちの1日の過ごし方がわかります。朝起きえて着替えをしていると、どこからか1匹出てきて、ご飯を催促するよう空の皿の前で立っています。トイレをみると、床に砂が散乱し、排泄物を隠さないのはモモだとわかります。トイレをきれいにし、飲み水を新しく取り替えると、すかさず別の子が寄ってきます。ふだん朝は夫と私の出勤で猫たちも動き出しますが、掃除機をかけ始めると、どこかへ隠れてしまい、そのまま3匹とも昼過ぎまでほぼ寝ています。猫がいるのを忘れるほど静寂な時間が流れます。読書タイムに椅子に眠る猫の背中をなでるのが私の至福の時。夕食作り前に少し私がソファで夕寝すると、りんが胸元に入ってきて、頭や喉の下をなでると、ゴロゴロ地響きのような声を鳴らします。でもずっと一緒ではありません。いつの間にか自分の寝床に戻っています。素っ気ないのがりんです。

 彼女らが活発になるのは、まさに夜。人間の夕食時にはリビングで背伸びをしながら毛づくろいし、すり寄ってきたり、ストーカーしたりでまとわりつきます。階段を爆音で駆け上がるのはチャコです。食卓テーブルにもジャンプしてきますが、人間の食事には手を出さず、食器の隙間を器用にすり抜けていきます。高齢化と共に夜の運動会も減りましたが、カシャカシャ、ドタバタと深夜に音が響き、翌朝よじれたリビングのラグを直すのが日課です。

 「猫の日」にちなんだ商品がたくさん出回っていて、「ネコノミクス」(経済効果)は2兆円とか。つい踊らされて、「ファミリ~にゃ~ト大作戦」のモフサンドコラボ商品を買ってみました。肉球型のお饅頭と真ん中を猫顔にくり抜いたパンとバームクーヘンです(猫顔のケーキは食べて崩すのが嫌)。どれも娘と一緒に美味しくいただきました。猫たちにはマグロ缶をあげて、日ごろの癒しに感謝。元気で長生きしてね。気づけばりん&モモは今年還暦(猫の11歳は人年齢で60歳)、一緒にお祝いしなくちゃね。

        

      「ファミリ~にゃ~ト大作戦」 美味しくいただきました♪ 

        不機嫌な表情のモモ 鈍くさいって書かれたからかな

 

NO.54   娘の振袖                2024年2月20日

  

 大学生は休みが多い。年末年始を食べて、寝て、たっぷり栄養つけて弘前に戻った娘が、春休みで帰省しました。ここひと月ほど夫婦2人の静かな日常でしたが、再び喧騒の日々となりました。学年末テストやレポート提出に追われ、2週間ほどまともに食事や睡眠をとっていなかったそうなので、餃子やエビ天丼など好きな料理を作って慰労してあげました。1年前は受験や入学手続き、アパート選び、引っ越し準備に追われていたと振り返ると、月日が経つのは早いものです。賑やかな家族3人の食卓は嬉しいのですが、主婦としては食事量が増え(夫と2人なら手抜きするのに)、あれやこれやで用事も増え、少々憂うつ。あ~面倒くさい。手放しに喜んでいるのは夫で、「いってきま~す」「ただいま~♪」の声も晴れやかです。

 帰省の目的の一つは、来年の成人式に向けて振袖を選ぶことです。1月からレンタル店の展示イベントが始まり、娘の友達の中には早々昨年の夏休みに予約したと聞き、我が家は出遅れていたので、娘が帰省した翌日、家から一番近い結婚式場の振袖展示会へ出かけました。会場ではキッズの衣装撮影会もあって、幼児や小学1年生くらいの子供たちがたくさん訪れ、カラフルなドレスを着て大盛況でしたが、振袖展示場はほぼ私達母娘の貸し切り状態。じっくり着物を選ぶことができました。

 なにせ娘は紫好き。中高校時代の文具、服や運動靴、カバンなどには必ず紫色が入っています。娘は赤やピンクには目もくれず、真っ先に地色が紫か黒字に紫の花柄などを手にとり、羽織って姿見で確認します。小1時間悩んだ末、ラメ入りの濃い紫地に大ぶりのボタンが鮮やかな振り袖を選びました。着付け担当の年配の女性が「第一印象で決まるものですよ」と言った通りでした。一生に一度の成人式、本人の好きな着物を着るのが何よりです。華やかで品のある配色は私も気に入りました。

 私の成人式では母に振り袖・帯一式を買ってもらいました。地色は濃紺。呉服店の展示会で一緒に選んだように記憶しています。成人式のほか、短大の卒業式(袴をはきました)、親族の結婚式など3、4回は着用しました。二十歳代、私はかなり太っていて顔もまん丸のパンパン、がっちりした胴回りに帯が映えるとはよくいったもので、恥ずかしいので記念写真は実家に放置したままです(笑)。娘は私の振袖で写真だけ撮りたいというので着丈が合えば着せてあげたいと思います。そして前撮り撮影では家族3人での記念写真を撮りたい。私も何十年ぶりに自前の留袖を着てみたいのです。ピンク色なので、今の年齢が最後のチャンスかもしれません。昔の習慣からか母は結婚時に私に着物を持たせようと、着る機会はそうそうないのに留袖を用意してくれました。贅沢な買い物で申し訳なかったのですが、今は感謝しています。いつか娘が私の持っている着物を着る機会があればいいなと願っています。

 今春86歳になる母は今でもおしゃれな人で、昔から私の服装にあれこれ口出す人でもありました。学生時代私が選んだ服に「それ流行なの?どうかと思うよ」と小言を言われたり、社会人になっても「その組み合わせはダメだわ」と、出勤間際に着替えさせられたこともありました。今でも時々「それ安物でしょ」とか余計なことを言ってきます。なぜか若い時分からあまり逆らわず、母のアドバイスに従って何となく無難な色やデザインばかり選んで着てきました。未だにそこから抜け出せず、紺やベージュ、グレー、白以外の色を着るには、かなりの勇気がいります。だから娘の洋服買いに付き合う時は見た目の印象やフィット感は伝えますが、色や柄は自由に好きなものを選べばいいと思うのです。

 めっきり春めいてきて、淡いパステルカラーや花柄、ボーダー柄などかわいらしいファッションが店先を飾っています。還暦を前に、これまでは絶対選ばなかった色や柄、デザインに冒険してみたいと思うこの頃です(今が私の反抗期)。今回は猫の話題がなかったので、次回2月22日「ねこの日」は猫づくしにしたいと思います。

 

    

         濃紫の地色にボタンが鮮やかな振り袖を選びました

    

   

            「ふう~ん、いいんじゃない」 byチャコ