猫ぐらし2 ねこったけ家族

愛猫3匹との日々を紹介します

NO.36  がんに想う                   2023年9月8日

 厚労省によると、9月は健康増進普及月間、自殺予防週間(9月10日~16日)、世界アルツハイマー月間(アルツハイマーデー9月21日)があり、日本対がん協会の「がん征圧月間」でもあります。先日テレビ番組で紹介された、作家の西加奈子さんがカナダでの乳がん治療を綴った「くもをさがす」を読みました。医療従事者が患者である西さんへ「あなたの体のボスはあなたよ」「どうしたいのかは自分が決めるのよ」と語る言葉がとても印象的でした。カナダ人との会話が関西弁で書かれていて、日本と医療制度の違う国での不安や苛立ち、辛い治療手記なのに温かみが感じられました。

 私にはがんサバイバーの友人がいます。彼女は38歳で血液がん「悪性リンパ腫」を発病し、長く辛い闘病生活を経て克服。今は大学1年になる娘さんと小学6年の息子さんの子育てに奮闘する中、某大学院医学系研究科博士課程に在学中です。9年にわたるがん治療と出産、その両立を綴ったノンフィクション作品「がんと生き、母になる 死産を受け止めて」を出版しました(2019年、まりん書房)。彼女と私は同い年。かつて別々の新聞社で記者をしていた20代の頃に知り合いました。彼女はアメリカ人男性と結婚し、東京で暮らしているので30年以上会っていないのですが、東京と北海道で文通を続けています。

 私と彼女は出産年が同じで、彼女は双子のうち一人を死産しました。その深い悲しみが癒えない中、がんが再発。さらに「自己免疫性溶血性貧血」「発作性上室性頻拍」、悪性リンパ腫から別のリンパ腫を発症し入退院を繰り返しました。かわいい盛りの娘さんと過ごす時間を削られ、薬の副作用に苦しみ、不安と焦燥、次々と襲う病魔との闘い。死をも覚悟する姿に絶句し、泣きました。そして彼女は「長く生きられないかもしれない。娘が寂しい思いをしないようきょうだいを作ってあげたい」と、抗がん剤治療の終りを待って凍結受精卵で妊娠、46歳で出産しました。こんな奇跡の母子がいるでしょうか。彼女の強い意思と勇気に感動し、尊敬し、ますます彼女のことが好きになりました。がんサバイバーとして健康で家族と幸せに暮らしていることが本当にうれしいです。彼女は「アラフィフママの育児(育自)日記」のタイトルでブログを書いています。彼女のがん体験記が悩んでいる誰かの役に立つことでしょう。是非ブログを読んでほしいと思います(本の問い合わせ先が分かります)。

 日本人の2人に1人が、がんを発症するといわれています。早期発見・治療で治る可能性は大きいとききますが、日本人の死亡原因第一位です。昨年、母が乳がんの診断を受けました。5~7ミリの腫瘍があると医師に告げられました。大学病院からの派遣医(偉い先生らしい)も手術による切除(全摘)を勧めましたが、母は「この年で胸を切るのは嫌だ」と拒否しました。半年後に再検査したところ、がんと思われていた腫瘍が消滅したと告げられました。一年後の検査でも影も形もありませんでした。なんだったのでしょう。黙って医者のいう通りに手術していたら乳房を失くすところでした。母は「納得いかない時は反抗するもんだね」と得意げに言います。医者は何を診て、早期手術と診断したのか疑問が残りますが、とりあえず発症せず暮らしていることに安堵しています。

 10年前、愛猫を悪性腫瘍(がん)で亡くしました。火葬して遺骨は庭に散骨しました。10年経っても悲しみは消えず、多くを語ることができません。西加奈子さんのように「自分の体にできたがんに悪意があるわけでなく、恨んだことはなかった」という心境にはなれないのです。がんは恐ろしく、憎い病です。

         

     がんサバイバーの方の励みになると思います。  

  

      

     歴代の飼い猫の中で一番の美猫でした。美人薄命だったカナちゃん

     猫じゃらしを振り回す1歳の娘。カナが遊んであげたのかな。